OsamuMabu

台湾 台東 緑島に渡る(16)

「島の北部」 灯台から海岸線に沿って東進すると、やがて「環島公路」に合流しますが、そのまま東へ走ります。途中磯場に下り立ってみます。磯の海は非常に透明で海中をたくさんの小魚たちが泳いでいます。観光シーズンにはダイビングやシュノーケリングのお客さんで賑わいます。 緑島は台東から約33km離れた絶海の孤島であるため、その地理的特徴によって「流刑の島」として使われてきた暗い歴史があります。現在も島内には刑務所があり、かつて国民党政権が戒厳令を敷いていたころ(戦後から80年代まで)、この島は政治犯を収容する監獄や ...

台湾 台東 緑島に渡る(15)

「南寮の北部と中寮の集落(空港や灯台付近)」 商店街を抜けた先の左側には一本の小さな滑走路が伸びています。南寮村の北部には空港があり、空港近くの民宿(左or上画像)も南寮村に属しています。緑島の空港に関しては。空港前には観光案内所があり、自転車のレンタルも行なっています。 隣村の中寮は、南寮村北部の集落とほとんど一体化しているため、「環島公路」を走っていても、村の境界を跨いだことには気づきません。集落の中には小学校や中学校があり、狭い路地が毛細血管のように張り巡らされています、しばらく走いると緑島灯台にた ...

台湾 台東 緑島に渡る(14)

「南寮の港や市街」 人口約3800人の緑島は3つの村から成り立っています。その中で最も多くの人口を擁し、且つ商業や行政の中心にもなっているのは、島の西側に位置している港町南寮です。南部に漁港、台東の富岡へ向かう船の乗り場があります。港付近は多くの数のバイクがずらりと並んでおり、観光シーズンには全て貸し出されます。港には島唯一のガソリンスタンドがあり、ガソリンエンジンで動く一般的なスクーターを借りる場合、必ずこのスタンドのお世話になります(加油)。このスタンドは夜になると閉まってしまうので要注意です。ガソリ ...

台湾 台東 緑島に渡る(13)

「全区模型展示館」 台座に「永懐領袖」と記された蒋介石(蒋中正)の胸像を見ながら、現在「全区模型展示館」として開放されている建物へと向かいます。この無骨な建物はかつて「中正堂」と呼ばれ、警備総司令部の集会所として使われていました。旧「中正堂」の壁には、当時の思想教育の様子をコミカルに表現したイラストが描かれているのですが、訓導している教官の顔は、ひらがなの「へのへのもへじ」になっているのがユニークです。特定の人の顔を想像させずに人物を描くには、日本の「へのへのもへじ」が都合良かったのかもしれません。誰でも ...

台湾 台東 緑島に渡る(12)

「八卦楼」 「緑洲山荘」を象徴する建物が、この「八卦楼」と称される獄舎です。八卦とは、地元の人の言葉でヤシガニのことを指すのだそうです。この建物の外観がヤシガニに似ているらしいのです。「八卦楼」の中心には六角形の塔が据えられ、そこからX字を潰したように2階建ての棟が4本伸びています。その形状がヤシガニに例えられたのでしょう。4棟のハブである中心部は吹き抜けになっています。中央に監視を置くことによって効率的な刑務所運営を図るというパノプティコンの典型的な構造ですね。2階建の棟が4棟あるということは、8区画に ...

緑洲山荘

台湾 台東 緑島に渡る(11)

「戒護中心」 監視塔と高い塀は監獄の象徴的な建造物ですね。塀の上には有刺鉄線が張り巡らされていました。こちらは「戒護中心」と称する建物。戒護ですから、いわゆる刑務官の詰所みたいなものです。内部には「獄外之囚」と題して、一人一人のエピソードが写真と共に掲示されていました。そのタイトルから推測するに、収容されなかったものの、白色テロによって受難に遭った人々の記録が紹介されています。「戒護中心」の裏手に建てられているのは「独居房」棟です。廊下の両側にドアが並び、板敷きの小部屋に便器だけが取り付けられた独居房が並 ...

滅共復国

台湾 台東 緑島に渡る(10)

「緑洲山荘」 政治犯収容所とは関係ありませんが、現在も緑島には刑務所があり、南寮の街から島の北側を周回すると、かならず刑務所のゲート前を通過します。島の北側には奇岩が連なる風光明媚な海岸が続いているのですが、そんな奇岩の一つである将軍岩付近には、海に突き出した芝生の広場と石材で積み上げられた円形の屋外ホールが広がっています。ここは「人権記念公園」。屋外ホールを形づくる石材の壁には、白色テロで受難に遭った方々の名前が刻まれています。またこの円形の造形には受難者たちの心情が表現されているのだそうです。 監獄の ...

台湾 台東 緑島に渡る(9)

「政治犯収容所跡」 緑島観光で最も重きを置いたのは、「朝日温泉」と政治犯収容所跡の見学です。近現代史の負や陰の側面を見学することです。台湾施政下に関しては、いままで金門島の戦跡や雲林の眷村などを取り上げられてきましたが、緑島の政治犯収容所跡も以前から一度は目で見ておきたい史跡です。 第二次大戦後台湾は日本の統治下から離れます。それと入れ替わり中国大陸における国共内戦で劣勢に立たされた国民党が台湾へ逃げのび反転攻勢を目指すべく体勢を立て直そうとします。 しかし、大陸からやってきた人間(外省人)は台湾での諸々 ...

台湾 台東 緑島に渡る(8)

「日の出に会える」 露天プール中央の浴槽で海を眺めながらぼんやり長湯し続けて、日が暮れ海面から満月が上がってきます。海面近くの低い位置に雲がかかっていたら、上がった月はとまもなく雲の向こうに隠れてしまいます。しばらくその場で待ってください、やがて月は再び雲の上に再び姿を現し白波立つ海原と静かな温泉プールをあまねく皓々と照らします。大海原を感じられる日中の朝日温泉も良いのですが、お月様や星空を仰ぎ見られる夜も素敵です。「朝日温泉」という名前は、この温泉は島の東側の海岸に位置しているため、早朝に行けば海原から ...

台湾 台東 緑島に渡る(7)

「露天プール」 屋外に設けられた各浴槽のほか、露天プールの丘側に建てられた浴舎の中には内湯もあり、L字形の大きな浴槽には41℃の温泉が張られています。日本で言うところの岩風呂みたいな雰囲気なのですが、プールとしての設計思想が強いのか全体的に深めの造りになっており、腰を下ろしてゆっくり湯浴みするような構造ではなかったように思います。また浴槽側面のあちこちから熱いお湯が供給されているため、壁にもたれかかろうとすると背中が熱くてゆっくりできません。 「沖撃湯(打たせ湯)」 この内湯には沖撃湯(打たせ湯)が設けら ...

朝日温泉

台湾 台東 緑島に渡る(6)

「地中海域の古代遺跡を連想させる海底温泉」 地中海域の古代遺跡を連想させるようなモニュメントに囲まれる形で、海底温泉を臨むテラスに設けられている四角い屋根付きの浴槽は、無色透明の高温な温泉が張られている浴槽です。屋根を支える4本の柱のうち1本に石積みの湯口があり、そこから火傷しそうなほど熱いお湯がチョロチョロと注がれていました。加水の有無はわかりません、熱いとはいえさきほどの温泉卵槽よりは低いので、何らかの形で冷ましてから供給しているようです。それでも吐出時点では高温であるため、投入量は絞られ諸々の調整に ...

海底温泉

台湾 台東 緑島に渡る(5)

「海底温泉」 波打ち際の海底温泉は引き潮で完全に姿を露呈させていますが、立入禁止です。よく見ると浴槽の中は空に近い状態のようです。朝日温泉のシンボルであるこの海底温泉は、もう二度と使えないのでしょう。 海底温泉付近からサンゴ礁の磯に沿って伸びる砂浜を歩くと、源泉と思しき施設を発見。後述する各槽にはここからお湯が引かれているのかな。さらにその奥へ行くと、砂浜や岩礁の境界付近にポツンと低い塔のようなものが立っており、近づいてみますと温泉たまごをつくる槽でした。近づくだけでものすごい熱気が感じられたので、温度計 ...

朝日温泉

台湾 台東 緑島に渡る(4)

「構内は古代ローマの遺跡」 構内は古代ローマの遺跡を思わせるようなモニュメントが立てられていたのですが、公園整備に際してはどのようなコンセプトが企画立案されたのでしょう。またモニュメントの近くには足湯が設けられていますが、シーズンオフにはお湯が抜かれます。観光ガイドの類で朝日温泉が取り上げられる場合、必ずと言って良いほど紹介されるのが、波打ち際に設けられた円形の海底温泉です。サンゴの岩礁の中から温泉が湧いていて、干潮時には円形の浴槽にお湯が溜まって入浴ができるというものであり、朝日温泉を象徴する浴槽です。 ...

朝日温泉

台湾 台東 緑島に渡る(3)

「台湾 緑島に渡る 朝日温泉」 電動スクーターを借り「朝日温泉」へ。緑島でも一応路線バスが運行されており、朝日温泉にもバス停があります。シーズンオフは午前2便と午後2便しか走らないため、今回の旅では時間に束縛されず行動できるレンタルの電動スクーターを利用することを勧めます(電動スクーターは免許不要で利用することが可能です)。なおバスの時刻は緑島郷公所公式サイト内にある「公車資訊」のページでご確認ください(観光シーズンの夏には午前5便、午後6便運行されるようです)。島の中心部である南寮地区の北部、空港付近に ...

緑島

台湾 台東 緑島に渡る(2)

「夏が緑島の観光シーズン」 緑島の観光シーズンは、夏。夏には1日5便(往復)ほど運行されるようですが、3月はシーズンオフ、閑散期には1日2便に減便されてしまいます。宿泊先の民宿に連絡して船の予約をお願いしておきます。窓口では予約してある旨を告げ、民宿名や自分の名前を書いたメモ、そしてパスポートを提示し、現金460元を払ってチケットを入手します。 もしご自身で船のチケットを予約したい場合は「船遊網」で検索してください(ただし繁体字中文のみ)。夏の観光シーズン(繁忙期)には予約しておいた方がいいかもしれません ...