蔡英文(ツァイ・インウェン)総統は、1月11日の総統選挙で、中国国民党(国民党)の韓国瑜(ハン・グオユー)候補を退けた。習近平(シー・ジンピン)政権は19年1月に台湾に対して「一国二制度の台湾版」を話し合うことを呼びかけ、当時与党の中国国民党は一国二制度を支持していた。特に中国からの経済協力によって台湾は、多大な発展を享受していた。一方で台北市近郊では、中国資本により不動産の高騰を招いたが、国民総数比では、中国国民党支持者が多く蔡英文(ツァイ・インウェン)総統の再選は難しいと考えられていた。
しかし、蔡英文政権は、習近平の呼びかけた一国二制度をきっぱりと拒絶し、香港の反対運動に同情と支援姿勢を示した。この一国二制度を否定すると一方で「中華民国と青天白日満地紅旗」を否定することはせず共に歩むとした。この3つのタイミングで蔡英文の支持率は反転上昇した。さらに蔡英文政権は国家安全保障関連の法制度を整備して、中国が台湾への浸透工作を進められないように手を打った。中国との関係を改善し金もうけをしようという主張を掲げていた国民党は、中国に対して煮え切らない態度に終始した。
貿易戦争が象徴する米中対立も蔡英文政権に有利に働いた。国民党は、中台関係が悪化したのは、蔡英文が「一つの中国」に関わる中台間のコンセンサスを認めないせいだとして批判したが、米国は台湾より中国の方がトラブルメーカーであると判断し、戦闘機F-16などの大型武器輸出や台湾支援立法などを繰り出し、中国との対立を深める蔡英文政権を支援した。
国民党は中国に接近しすぎていると判断され、米国の信頼を失った。台湾の有権者は米国の重要性をよく理解しており、米国の信頼を失った指導者を選ぶことに躊躇(ちゅうちょ)する。かつて民進党の陳水扁政権(2000~08年)が台湾独立路線をとってブッシュ政権から嫌われたことがあったが、今回の選挙は、民進党へ優位に働いた。台湾の発展を切望していた一人でした。
民主主義国家 台湾
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