代表的な料理は、
美濃條…「在来米」(うるち米)で作るうどん。きしめんのような太さのものから、さらに太いものまであります。モチモチした歯ごたえとコシが特徴で、日本のかけうどんのように出汁を張って食べるほか、野菜などとともに炒めるのも一般的。
客家小炒…戻した干しイカ、干し豆腐、ネギ、椎茸、唐辛子などの炒め物。客家料理の定番中の定番と言える一品。
梅干扣肉…梅菜と呼ばれる客家独特の酸っぱい高菜で煮た豚の角煮。こちらも定番。
薑絲大腸…生姜の細切りと大腸を炒めて酢で味付けしたもの。酸味がクセになります。
高麗菜封…キャベツを独特の醤油で煮込んだもの。
冬瓜封…トウガンを独特の醤油で煮込んだもの。
炒野蓮…「水蓮菜」とも言われる「タイワンガガブタ」の葉の炒め物。くせがなくシャキシャキした歯ごたえが特徴。
客家の人たちが最も集中している広東省、江西省、福建省にまたがる山間部での生活は、ニワトリ、アヒル、ブタなどの家禽、家畜を育てながら、山の幸である野生動物やたけのこ、山菜、キノコ、川魚、カエルなどを利用し、華南での栽培に適したコメやその加工品とサツマイモを主食とし、煮物や蒸し物を中心とした素朴な料理をおかずとして食べる食生活になってきました。
また、流転の多い生活によって、携帯や保存の利く漬物、乾物、燻製をよく利用するようになった。セリホン(カラシナの一種)を漬けた「酸菜」やさらに干した「梅菜干」がよく料理に使われ、また、干しいも、干し大根、干し筍などの他、ブタやオオハタネズミの干し肉を食べる地域もある。労働での発汗による塩分を補給して体力を維持するため、脂こく、塩辛く、濃い味付けが多い。風味付けにトウガラシ、ショウガ、酒、醤油を多用する。一方で、スープなどは非常にあっさりしたものもある。基本的に自分たちで食べるために用意する素朴な料理として伝わってきたため、店で食べても庶民的で、経済的な料理というイメージもある。調理法の上では、石蒸し、竹蒸し、塩蒸しなど多彩な蒸し方を使う料理がある。また、素材を包丁や棒で叩いて細かく潰す料理が多く、日本と同じく杵と臼で搗く餅米の餅もあり、大陸では「糍粑」、台湾では「麻糬」と称します。
このような客家料理に共通する調理法、素材の特徴がある一方で、周辺の料理や流通している食材の影響をうけ、地域ごと、また、各地の名物料理にも違いがあります。主に省単位で地域分け、広東省東部の東江料理(とうこうりょうり)、江西省南部や広東省北部の贛南料理(かんなんりょうり)、福建省西部の閩西料理(びんせいりょうり)、台湾の台湾客家料理(タイワンハッカりょうり)に分けて扱うことになっています。これ以外に、四川省の客家料理、マレーシア、インドネシアなどの東南アジアで変容した客家料理などもあります。