「島の北部」
灯台から海岸線に沿って東進すると、やがて「環島公路」に合流しますが、そのまま東へ走ります。途中磯場に下り立ってみます。磯の海は非常に透明で海中をたくさんの小魚たちが泳いでいます。観光シーズンにはダイビングやシュノーケリングのお客さんで賑わいます。 緑島は台東から約33km離れた絶海の孤島であるため、その地理的特徴によって「流刑の島」として使われてきた暗い歴史があります。現在も島内には刑務所があり、かつて国民党政権が戒厳令を敷いていたころ(戦後から80年代まで)、この島は政治犯を収容する監獄や思想矯正施設が設けられ、一般人の渡航が制限されていました。島北部の海岸は奇岩の多い風光明媚な景色が続いているのですが、そんな奇岩のひとつである「将軍岩」を臨む場所に芝生の公園が広がっています。円形の大きなモニュメントが印象的なこの公園は「人権記念公園」。円形のホールの壁には白色テロによって迫害され緑島に収容された人々の名前が刻まれています。また公園の東側にある高い塀に囲まれた建物は「緑洲山荘」と称する政治犯の監獄跡です。この他にも一帯には政治犯収容関連施設が残されており「緑島人権文化園区」として一体的に整備され二度と繰り返してはならない戒厳令時代の歴史を後世へ伝えています。
台湾 台東 緑島に渡る(16)