李登輝総統以後、徐々に民主化され、言論の自由を得て、やっと少しずつ、二・二八事件や白色テロ被害のことを語れるようになったとはいえ、事件における死傷者の数や、責任を負うべき人々などについて、まだまだ調査が必要である。だからこそ、“転型正義”が求められている。
台湾においては、蒋介石・蒋経国時代に行われた違法行為や人権侵害に対し、責任者の処罰や被害者の名誉回復・補償を行なう必要がある。2016年の選挙によって、台湾史上はじめて、総統も国会も台湾派が担うこととなった。
台湾人の期待を背に、蔡英文総統はスピードが遅いと批判をあびつつも、少しずつ改革を進めている。2017年11月20日、立法院は「国家人権博物館組織法」を可決。国家人権博物館は、白色テロ時代、専制政権下に起こした人権関連公文書、歴史資料、関連ファイルの収蔵、研究、展示、及び教育などを中心に活動を行うことになった。12月5日、「転型正義促進条例」が立法院で可決された。促進委員会の任務は、政治関連資料を開放、強権シンボルの撤去、不義跡地(刑務所、墓地等)の保存、司法の回復、歴史真相の還元、社会全体の和解促進である。 二・二八事件や白色テロの被害を過去の事として蓋をする前に、まずは真相を明らかにしようとする台湾人の取り組みは、勇気ある歴史認識作業である。台湾人の悲劇は教訓として、台湾人だけでなく、他国からの侵略に危機を感じている全ての世界の人々は、台湾人の悲劇は教訓を記憶にとどめず生かされるべきだ、それでないと数万の台湾人被害者の魂は救われない。